2025年12月28日巻頭言


         「あなたのためのクリスマス」 市川 牧人牧師
 天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。 <ルカによる福音書2章10節>
 カウンセリングの一般常識では、不安定な状態にあるクライアントに「大丈夫」、「何とかなるよ」といった声かけは逆に状況を悪くすると教えられます。確かに、課題に直面している人は他人からの無責任な「大丈夫だよ」という言葉には、軽率さを感じてしまうのでしょう。ですが、今日私たちに語られているのは、絶対に私たちを裏切らない真の「大丈夫」なのです。すなわち、夜番をしていた羊飼いに天使が現れ、「大きな恐れ」に襲われた彼らに語った「恐れるな」という言葉には、どんな人間の「大丈夫」をも越える真実の「大丈夫」が響いています。なぜそんなことが言えるのでしょうか?なぜ、この時の天使の語る「大丈夫」は、羊飼いたちの、そして私たちの持つすべての恐れを凌駕する平安となりえるのでしょうか。それは、イエス・キリストが確かにこの地上に救い主としてお生まれになった、この一点に尽きます。この記事を書いたルカはイエス・キリストの誕生が歴史上のどの点において実現したのかを、その時の皇帝や総督の名前を記載し、人口調査についての情報を詳細に記すことで二千年の隔たりを持つ私たちに懸命に伝えようとしているのです。また、12節にあるように、イエス・キリストが神から送られた唯一の「しるし」であるということを覚えたいのです。「しるし」というのは単なる道路標識のような、ある瞬間にしか必要にならないものではありません。この「しるし」-サクラメント(神秘)とは、目には見えない神の力を私たちに与える唯一の源(風穴)なのです。神がキリストによって私たちに示した「大丈夫」は、人間が心理的、精神作用的によって作り出したフィクションではなく、実際に私たちに信仰と希望と愛を与える神の力なのです。これ以上の「大丈夫」は、この世界には存在しません。地位も名誉もこの世のいかなる満足も提供できなかった、「大丈夫だよ」という平安のメッセージがイエス・キリストからあふれ流れているのです。